少々前の話で恐縮だが、今年の夏のはじめスイスで観光列車の脱線・転覆事故があった。日本人客も乗っていたので、マスコミは「氷河特急転覆」と大きく報じた。テレビや新聞の現場写真を見ると、なるほど車体にGlacier Expressと書いてある。
「オリエント急行殺人事件」という映画がある。アガサ・クリスティの推理小説を映画化したものだが、今でも時たまテレビで放映される。これに出てくる優雅な客車にはOrient Expressと書かれている。
同じExpressなのに「オリエント」では「急行」であったのに、「氷河」では「特急」にされてしまっている。どうしてこんなことになったのか。
やはりこれは近年のJRの「特急」乱発に、マスコミも洗脳されてしまったのではないか、という気がする。
「氷河」を「世界一遅い特急」などとコメントした新聞もあった。しかし、これは「速さ」を売り物にする列車ではない。速くないからこそ、じっくり観光ができる。こんなことからも「特急」などと訳すにはおかしい。
「オリエント急行殺人事件」も、もし今日このごろ日本に紹介されていたら「オリエント特急殺人事件」にされてしまっている恐れは多分にある。
(交通ペンクラブ会員 河合 恭平)
2010年11月15日月曜日
的外れのスイス列車事故報道
ラベル: 103号