出した、売れた、新幹線特急券
諸岡達一
鉄道狂時代の最中、世の中の不況なんのその、オモシロ報告致しましょう。
インターネット・オークションに昔の硬券キップを売りに出したら、これが高値? で売れたんであります。ファン垂涎の《上等硬券》に高値がつくのは認識していましたが、それほどでもない硬券でも「欲しいキップ狂」がいるんです。
挿絵写真をご覧あれ。この10枚、何人ものキップ狂が入札した結果、最終的に「1万5000円」で落札されたのであります。
この硬券は、国鉄時代のいわゆる「D型券」(3㌢×8・7㌢)で、1968(昭和43)年3月20日の日付パンチ入り東海道新幹線「ひかり13号」の特急券10枚です。
東京8時20分発→新大阪までの座席指定券。それぞれ手書きで「12号車6番A」「12号車6番B」……といった按配に「6番A、B、C、D、E席、7番A、B、C、D、E席」の連番であるところがミソだったのでしょう。12号車というのは当時の2等車。
裏面は英文。東京渋谷の日本交通公社発行で1枚1600円と記されています。汚れ、しみ、破損などほとんどありません。キップ保存アルバムに大事に保管していたものです。誰もが見覚えのある懐かしいキップです。
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インターネット・オークションは規則・やり方など多少ややこしい。ネット取引用のネット銀行に口座を開いて、落札者が簡単に代金を入金出来る仕掛け(お金やりとりのシステム)など準備を完璧にしておきます。
キップをきれいに並べてスキャナで取り込み、いかにも「素晴らしい珍品」であるか如き説明文(これは得意中の特技)を書き、オークションに出品します。期間は何日でもいいのですが、まあ、4日くらいが目安。最初の値段は自ら「0円」と設定して入札を待ちます。
2日くらいは「0円」のまま。「こりゃ、駄目か」。3日目になると第一番目の入札あり!
これが「1300円」。すると間もなく「1550円」と吊り上がり、「3800円」→「6900円」→「8700円」……どんどん上がる上がる……翌日、制限時間いっぱいが近くなって「10000円」を突破、残り3分で「12500円」、すると、昨日「8700円」を入札した人が「13100円」、対抗している人が「14050円」、ぎりぎり30秒で「15000円」。決定。入金を確認したら厳重丁寧に包装、感謝を込めて「書留」で落札者へキップ10枚お送り申し上げた次第です。
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面白がって引き続き「営団地下鉄の10円キップ20枚」も「4500円」で落札した奴がおるんです。引き続き……。
しっかしね、コレ疲れます。もうヤメタ。とても面倒臭い。まだ硬券は沢山持っているのですが、他のことが何も出来ンのじゃ!
(交通ペンクラブ会員、元毎日新聞)