

最後の最後にお礼を述べた牧さん。「きょう
で日経新聞をやめました。45年の日経生活でした」と、爆弾発言。東京五輪の64年に入社して副社長からテレビ大阪会長となり、07年から日経の顧問になっていた。「30年ぶりにベトナムを再訪して、当時の助手らと再会。スパイ容疑がかけられたり、国外に脱出したりで、あの革命は何だったのだろう、というのがこの本を書くきっかけでした」。

当時毎日新聞のサイゴン特派員だった古森義久氏(産経新聞ワシントン駐在編集特別委員)は産経新聞の書評(6月28日)で「闘争の主役だったはずの南ベトナムの革命勢力が勝利後に圧殺された事実や、旧政権側に生きた市民たちが新社会では排され、削(そ)がれていった事実をも具体的な事例を重ねて告げていく。その結果、ベトナム戦争全体の実像が立体的に姿を現す」
とつ
づった。 日経社会部の後輩で月刊「ファクタ」の阿部重夫編集長は「頑としてサイゴンに居残り続け」「身の危険を顧みない記事にはタブーのはずの臨時政府批判もあって生々しかった」と、牧特派員の記事を評価、この本については「フトマキさん(社会部時代の愛称)、あなたは『ベトナムの敗者』の証人だったのですね」とブログに書いている。

