2009年5月1日金曜日

大盛況です「大鉄道展」

今年は「ながさき鉄道物語」で出発進行   米山淳一

 東京と九州を結ぶブルートレイン「はやぶさ・富士」は鉄道を愛する熱烈な人々に見送られ、歴史の幕を閉じた。今や鉄道に深い愛着のある方ばかりか、広く一般の人々も鉄道に関心を寄せる時代だ。新幹線を待っていると「次はN700ね」などと若い女性同士の会話まで聞こえて来る。 

 縁あって平成19年夏に江戸東京博物館で開催した「大鉄道博覧会」から、鉄道を題材とした展示会をプロデユースする仕事にかかわることになった。 

 鉄道を生活文化の視点から見つめ直し、鉄道の素晴らしさ、魅力を多くの方々に実感していただくことを目的に楽しいイベントに仕上げることを目指してきた。平成20年度は岡山デジタルミュージアムほか3カ所で開催。今年度は長崎歴史文化博物館(4月18日~6月15日)をはじめ、天満屋(高松市・4月23日~5月6日)、伊勢丹美術館「えき」(京都市・7月16日~8月23日)、高輪グランドプリンスホテル(東京・8月1日~31日)での開催が決まった。 

 4月18日(土)、長崎駅長の出発進行の掛け声で、JR九州長崎支社長の水野正幸氏ら来賓がテープカットを行い、今年度の大鉄道展のトップを切って「ながさき鉄道物語」が始まった。初日は千人を超える盛況。長崎における鉄道の歴史は古く、1865(慶応元)年、トーマス・グラバーが英国製の蒸気機関車アイアンデューク号を大浦海岸で走らせている。新橋―横浜の官設鉄道の開通より7年も早いことが長崎市民の誇りであり、鉄道への関心も高い。 

 館内の展示は、1888(明治31)年に全通した長崎本線や長崎電気軌道、島原鉄道、松浦鉄道など地域の鉄道史や車両、施設などの魅力を余すことなく紹介している。特に東京への道と題したブルートレインコーナーは人気。その豪華さから動くホテルと呼ばれ、九州の人々にとって大切な列車だった。長崎県民は「さくら」に今も熱い思いを寄せる。このほか、特急「つばめ」に使用された1等展望車の実物大複製。つばめ・はとガール、旅客車の設計者・星晃氏コーナー、模型ジオラマなどの巡回展示物が花を添える。また、JR九州の主要駅長の町づくりや観光宣伝の出前トークもあり、盛りだくさんだ。 

 今後、夏休みに向けて地域ごとにテーマを設け開催が続くが、子どもからお年寄りまで3世代にわたり安全、快適で環境に優しい鉄道に親しんでいただける機会となれば幸いである。(地域遺産プロデューサー・元財団法人日本ナショナルトラスト事務局長)