2009年11月1日日曜日

再現 新幹線出発式

 0系新幹線先頭車の展示に伴って、1964(昭和39)年10月1日午前6時発の一番列車を前に、東京駅で行われた出発式の情景が再現された。45年前のこの出発式に列席していた交通ペンクラブ会員がいた。 
 モノクロ写真を見てください。テープカットしている石田礼助国鉄総裁の左後ろの髪黒々の若者は岩崎雄一氏(1955年国鉄入社)。31歳。石田総裁の秘書をしていた。
 「石田さんは十河さんがテープカットをすべきだと言っていました」と岩崎氏は証言するが、その十河信二前総裁も島秀雄前技師長も出発式に招待されなかった。 
 岩崎氏の左は藤井松太郎技師長で、その後に顔が見えるのが建設局長・仁杉巖氏(1938年運輸省入省)、当時49歳。「名古屋と東京の幹線工事局長で東海道新幹線を建設した。よく出来たな。間に合ってよかったという気持ちだった」と仁杉氏。 
 もう一人、写真には写っていないが、三坂健康氏(1953年国鉄入社)、当時35歳。 
 「旅客課の総括補佐で、前日から徹夜作業でした」。三坂氏は十河総裁の秘書をしており、翌日代々木のマンションを訪ねると、十河は「テレビで見たよ。(東海道新幹線が)出来ればいいんですよ」と話した。しかし、さすがに寂しそうだったという。 
 このモノクロ写真は、岩崎氏が会長をしている(社)全国鉄道広告振興協会に飾ってあったのをコピー機でスキャニングしてもらった。「一列目で存命は私ひとりではないですか」と岩崎氏は感慨深げだった。